2019/04/11
2019年11月以降、2009年以前に「余剰電力買取制度」の適用を受けた太陽光発電設備が「余剰電力固定価格買取期間」の順次満了を迎えます。
「満了後の売電」「満了後の買取価格」「満了前に必ずチェックすべきこと」についてこちらの記事では解説していきます。
【FIT固定価格買取順次満了】2019年問題とは
概要
2019年問題とは、2009年に開始された「余剰電力買取制度」の適用を受けた太陽光発電設備が、2019年11月以降順次、10年間の買取期間満了を迎えるという問題です。
その数は、2019年だけでなんと約53万件!!
さらに満了後の「買取価格」が未発表であること、また一部の方においては「買取価格が一時的に0円」になる可能性あるという事が大きな問題となっております。
対象者と認定時期
2009年以降余剰電力買取制度の認定を受けている方は全て、2019年以降順次買取期間が満了を迎えます。
対象者 | 「余剰電力買取制度」の適用を受けた太陽光発電設備を所有する全ての方 |
---|---|
認定時期 |
2009年10月以前認定以降
|
満了後の買取価格はどうなるのでしょうか?
満了後の買取価格の予想
2019年3月現在。FIT固定価格買取順次満了後の売電単価は『おおよそ10円/kWh以下』での買取になると予想されております。
2019年4月22日。関西電力と四国電力は余剰売電の固定価格買取制度満了(卒FIT)を迎える世帯へ向けた新しい買取価格を発表しました。新価格は6月28日時点で9円~7円/kWhとなっております。
10円以下と予想される根拠は主に3つあります。
①余剰電力買取価格の低下
2012年FIT法の施行から現在まで、売電価格は10年連続で下がり続け、当時42円/kWhだった価格は2019年3月現在では24円/kWhまで、値下がりしております。施行当初は太陽光発電の普及を目的として、高価格での買取を行ってきましたが、太陽光発電設備の普及も過渡期を迎えた現在は、できる限り発電コストを抑えることにシフトしてきていると考えられます。その為固定価格買取の契約が切れた太陽光設備は売電価格の大幅な値下げが行われると予想されております。
②発電コストとの比較
資源エネルギー庁が公表している各資源ごとの発電コストを参考にすると、石炭火力発電の場合が12.3円/kWh、天然ガス火力発電が13.7/kWh円、石油火力発電が30.6〜43.4円/kWhです。
また、最も低コストな原子力の場合は10.1円/kWhであるため、電力会社の視点からは他の発電方法より低いコストで電気を調達したいとと推測されます。その為買売電格は、原子力の発電価格10.1円/kWhと等価以下になるのではないかと予想されていおります。
③新電力の買取価格と比較
新電力では、固定価格買取が満了する世帯を「卒FIT」と呼称し、大手電力会社に先駆けて買取プランの提示が始まっています。
2019年4月現在。新電力より発表されている買取価格の相場は7.5円/kWh~10円/kWh。
また積水ハウスのオーナーであるという条件付きで、11円/kWhで買い取るというプランも提示されております。
そして約9.25円/kWhという価格がこれらの平均です。
新電力の狙いはできるだけ電力の調達コストを抑えた上で、新規加入を増やすことだと推測されます。
そこで売電価格は大手電力会社と概ね足並みをそろえ、同時に「卒FIT」向けの電気料金値下げプランを提示して、総合的観点から得をするという手段で大手電力会社との競争に出てくると予想されております。その為売電価格は9.25円/kWh前後になると予想されます。
新価格は6月28日時点で9円~7円/kWhとなっております。
売電価格が0円になる可能性はあるの?
資源エネルギー庁特設サイト「どうする?ソーラー」のQ&Aでは、買取期間が満了した後の余剰電力が、必ず無償引き取りになるわけではありません。
と表現した上で、買取期間満了後「 小売電気事業者やアグリゲーターとの売電契約の切替が滞ってしまった」「 売電契約先が倒産してしまった」などという例外的な状況において、一時的に一般送配電事業者が余剰電力を無償で引受ける
ことがあると示唆しております。
引用:資源エネルギー庁特設サイト「どうする?ソーラー」のQ&Aより
つまり、基本的に売電価格が0円になることはありませんが、例外的状況で一時的に売電価格が0円になってしまう可能性が示唆されております。
売電価格が0円になる一例
① 買取期間満了後に手続きを怠った場合
買取会社により対応が異なります。一部の電力会社では、契約の更新や変更の手続きを怠ると、一時的に売電価格が0円になる可能性もございます。【現在の買取者が東京電力エナジーパートナー・北陸電力(小売)・関西電力(小売)の場合又は離島の場合】
新しい単価で、同じ会社が継続して買取りを行う予定です。【現在の買取者が上記以外の場合】買取者が一時的・例外的に不在となる場合には、一般送配電事業者が無償で引き受けることになりますので、今後様々な事業者から発表される買取メニューをご確認いただき、買取期間の満了までに、ご自身の希望に合うプランを選択してください。
引用:資源エネルギー庁特設サイト「どうする?ソーラー」のQ&Aより
② 売電契約先の倒産
売電契約した会社が倒産してしまった場合、一時的に余剰電力の買い手が不在となり、電力の無償引き受けとなる場合がございます。
一時的に余剰電力の買い手が不在(無契約での逆潮流)になるケースが生じる可能性があります。
引用:資源エネルギー庁特設サイト「どうする?ソーラー」のQ&Aより
2019年11月以降、「契約切り替えの手続きを怠った場合」「売電契約先の倒産」などという例外的状況で売電価格が0円になり、手続きの混乱やそれに乗じた押し売りなどが横行する可能性がございます。
ご注意
固定価格買取期間満了後は0円買取になるので
○○○○が絶対お得!などという押し売りや
強引なセールストークが横行しており、
資源エネルギー庁が注意を喚起しております。
固定価格買取満了前に必ずチェック
余剰電力買取満了後の対策を検討するにあたって、まずは自分が契約している会社がどこか、いつから契約しているのかを把握しなければいけません。
また、今後のスケジュールでは、2019年4月~6月の間に大手電力会社から買取価格(売電単価)についての発表がされる予定です。それと前後して、5月頃から契約中の電力買取会社から満了の対象者へ向けて個別の通知が届きはじめます。※
満了の前に今後の流れを押さえることで、慌てることなく売電満了後の対策を検討することができます。
※2019年5月以前にも、一部の電力会社で任意的に個別通知が行われている場合がございます。
現在の売電契約を確認しましょう
契約の確認
売電契約について確認することが出来る体表的な書類の例です。
- ①契約書
- ②直近の電気検針票
- ③満了対象者への通知(2019年5月以降順次発送)※
※2019年5月以前にも、一部の電力会社で任意的に個別通知が行われている場合がございます。
直近の電気検針票から契約情報を確認する方法の一例
契約書や個別通知が見当たらなくても大丈夫!契約会社や買取期間起算日は直近の電気検針票からでも確認することが出来ます。
今回は関東圏で電力買取を行っている会社の検針票をモデルにご紹介いたします。
- ①契約会社
- ②設備ID
- ③売電単価
- ③発電出力
- ③買取期間起算日
今後のスケジュールをチェックしましょう
資源エネルギー庁特設サイト「どうする?ソーラー」では大手電力会社の個別通知と買取メニュー(売電単価)に関するスケジュールを発表しております。
大手電力会社のスケジュール
大手電力会社の買取価格は2019年4月~6月に発表されます。
詳細は一覧表をご参照ください↓
電力会社 | 発表時期 | 買取価格 |
---|---|---|
北海道電力 | 6月 | 8円/kWh |
東北電力 | 6月 | 9円/kWh |
東京電力 | 6月 | 8.5円/kWh |
中部電力 | 4月 | 8円/kWh |
北陸電力 | 4月 | 8円/kWh |
関西電力 | 4月 | 8円/kWh |
中国電力 | 4月 | 7.15円/kWh |
四国電力 | 4月 | 7円/kWh |
九州電力 | 5~6月 | 7円/kWh |
沖縄電力 | 6月 | 7.5円/kWh |
2019.06.28現在
売電契約会社からの個別通知
現在売電契約を結んでいる電力会社等から、買取期間満了の6~4ヶ月前に個別に通知が届きます。※
契約会社からの郵便物やメールなどを見落とさないように気を付けましょう!
※2019年5月以前にも、一部の電力会社で、任意的に個別通知が行われている場合がございます。
まとめ
余剰電力買取満了の前に今後の流れを押さえて、余裕を持って売電終了後の対策を考えて行きましょう!