2020/04/13
2020年度FIT制度抜本的な見直しとは
2020年度4月から事業用太陽光の一部に『地域活用要件』が適応されます。
『地域価値用要件』とは太陽光エネルギーの自家消費と、災害時活用を推し進めるため、FIT制度の抜本的見直しとして2020年4月から、新たに盛り込まれた要件です。
対象となる事業用太陽光発電は?
「小規模事業用太陽光」(低圧太陽光)と呼ばれる10kW以上50kW未満の太陽光発電が対象となります。
地域活用要件とは
2019年度の再生可能エネルギーの地域活用に関する議論の結果、地域における電力のレジリエンス(回復力)の強化とエネルギーの地産地消という観点から、「自家消費の確認」が出来ること、「災害時の活用」が出来ることを10kW以上50kW未満の小規模事業用発電に求める「地域活用要件」として新設しました。
そして「小規模事業用太陽光」(低圧太陽光)がFITの認定を受ける為に、大きく分けて3つの要件が提示されました。
- ①自家消費率を満たす事
- ②自家消費の確認が行える事
- ③災害時に活用が可能な事
地域活用件の概要
次に「地域活用要件」の3つの要件について解説致します。
①自家消費率
「小規模事業用太陽光」が満たすべき自家消費率として定められたのは30%です。
これは残りの70%が売電の対象となるという事です。
自家消費率 | 30% |
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売電比率 | 70% |
②自家消費の確認
FIT認定時と、運転開始後それぞれに自家消費の確認が行える事が、新たな要件となっております。
具体的には、FIT認定時には「自家消費計画」の策定を求め、「配線図」等に基づき自家消費が可能な設備か確認を行います。
また運転開始後には「買取電力量」を確認し自家消費率を満たすか算出致します。電気料金請求書・検針票の保存と発電電力の記録が求められます。
もしも自家消費を満たさない場合「認定取り消し」等の厳格な措置がとられます。
自家消費の確認 | |
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FIT認定時 | ① 自家消費計画の策定を求める ② 配線図等に基づき自家消費が可能な設備か確認 |
運転開始後 | ① 買取電力量を確認し、自家消費率を満たすか算出 ② 自家消費率を満たさない場合認定取り消し等厳格な措置 ③ 電気料金請求書・検針票の保存と発電電力の記録 |
運転開始後の③に関しては少なくとも3年間にわたり保存を求めると共に、発電電力量の記録(PCSベースでの発電電力量をモニタリングするサービスを利用する、又はPCSに表示さ れる発電電力量を写真で保存することを要件とする。
自家消費計画に必要な事項
- ① 当該再エネ発電設備による発電電力量の見込み(年間ベース)
- ② 自家消費等の用途・量の見込み(年間ベース)
- ③ 以上に基づいて計算される自家消費等の比率(年間ベース)を記載すること。
また、既築建造物に再エネ発電設備を設置する場合については、当該設備を設置する一の需要場所における前年(認定申請から遡って1年間)の電力消費量を提出すること。
③災害時活用
昨今の災害多発により、太陽光発電の災害時活用が求められております。
その需要を受け2020年度より、「小規模事業用太陽光」は最低10kW相当分のPCSに自立運転を具備させ、1.5kWの自立運転を確保する必要とすることになりました。
災害時活用 |
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① 災害・停電時自立運転機能を有すること ② 給電用コンセントを有し、災害時の利用活用が可能であること |
最低10kW相当分のPCSに自立運転を具備させ、1.5kWの自立運転を確保する |
自家消費率の条件を免除となる太陽光発電
「小規模事業用太陽光」の中でも一部の「営農型太陽光発電」(ソーラーシェアリング)に限って、自家消費率の条件が免除となります。
これは、営農地には自家消費をする設備が必ずしも存在するとは限らないからです。
この特別な措置は「営農型太陽光発電」の中でも、一時転用10年間の認定を受けた発電所を対象に、自家消費を行わない要件であっても、災害時の活用が可能であれば、地域活用要件を満したと見なします。
よって該当の営農型太陽光発電は100%売電が可能です。
地域活用要件の概要
自家消費率免除となる太陽光発電 | |
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対象の太陽光発電所 | ①10kW以上50kW未満 ②一時転用期間10年 ③営農型太陽光発電 以上3つの条件を全て満たすもの |
免除される要件 | 自家消費率30%を免除とする |
求められる要件 | 災害時の活用要件を満たすもの |